
コスパのいい高級紳士靴
紳士靴の価格には数千円から数十万円までの開きがあります。ですが、コスパで考えると高い物でも安い物でもなく、中価格帯(といっても高いですが)の物が最も優れています。今回はその辺りのお話です。
通常は靴がダメになるのはソール(靴底)からです。ソールが壊れるたびに買い替えているといくら安い靴を選んでもお金がかかります。その点、ソールの交換が可能な靴を選べば、安上がりです。オールソール(靴底全面交換)ですら1万~1万5千円程度で交換でき、さらに数千円の靴のソールより耐久性が高い物となります。このソール交換の可能な靴は安いもので3万円くらいからあります。
一方高い靴はというと、何かのアクシデントが起こり靴が壊れてしまうリスクもあり、その点からもドレス用ならともかく日常靴としてはあまりコスパがよいとは言えません。
価格でいうとおよそ3万~10万の物がコスパが高く、また履き心地や作り、見た目の品質も良いので、日常ビジネスで利用するには最適です。
コスパがいい訳
1.ソール(靴底)の張替
安い紳士靴はソールとアッパー(靴の上部、ソール以外)が接着剤で固定されています。これをセメント靴と呼んだりもします。このセメント靴は原則としてはソールの張替ができません。セメント靴のソールの張替をしてくれるお店もありますが、張り替えを想定した作りの靴ではないのでアッパーに問題が発生しやすい。またセメント靴に貼られているソールは粗悪なものも多いため、負荷がかかる部分で割れてしまい、1年も経たないうちに壊れるなんてこともざらにあります。
それが、グッドイヤーウェルト製法やマッケイ製法で作られた靴だとオールソールの交換を想定した作りになっているので、アッパーが悪くならない限り履くことができます。なおグッドイヤーウェルト製法は交換回数が多くても耐えられるしっかりとした作りになっており、マッケイ製法はイタリア靴に多い製法で薄くてしゅっとしたデザインになります。マッケイ製法の方が交換可能回数が少ないのですが、オールソール交換を4回も5回もすることは稀なので好みのデザインを選べば良いでしょう。
2.アッパー(靴の上部、ソール以外)の耐久性
アッパーは長く履いていると型崩れを起こします。しっかりした作りの高級靴を買い、シューツリー(シューキーパー)で形を整え、リムーバー、クリームでケアをすることで、物によりますが10年以上は楽に耐えられます。革製品は雨に弱いため型崩れを起こしやすくなります。雨が強い日は雨の日用の靴を準備するようにしましょう。
代表的な靴メーカーイギリス
スーツでイギリス風とイタリア風、アメリカ風があるように、靴にも違いがあります。スーツに合わせて靴も選ぶのが正統法ですが、あまり細かいことを考えすぎると日常着としては使いにくいものになってしまいます。ドレス用はともかくとして、一般ビジネスシーンならそこまで気にする必要はないでしょう。そこまでしているのは年配の方でもごく稀です。
イギリス靴の特徴は、大まかにいうとクラシカルなデザイン、質実剛健な作り、グッドイヤーウェルト製法です。伝統があるので信用、人気も高くあります。
ジョンロブ(JOHN LOBB) エドワードグリーン(EDWARD GREEN)
この2社は紛れもないトップブランドです。そのため価格も20万~となります。今回のコスパの話には合わないので説明は省きます。
http://www.johnlobb.com/jp/
http://www.edwardgreen.jp/
クロケット&ジョーンズ(Crockett&Jones)
photo:http://griffin.cx
世界中で最も多くラスト(木型)の種類を持つ靴メーカーとして知られるクロケット&ジョーンズです。クロケはとにかく人気があります。中価格帯の紳士靴では圧倒的な人気です。今っぽくカッコイイデザインですが、個人的には価格の割に作りがどうかなと、いつも購入に踏み切れないメーカーです。
キャップトゥ内羽根(オードリー)で9万円強。9万円ならバックステイをなんとかして、、と思ってしまうところです。
http://www.crockettandjones.com/
チャーチ(CHURCH’S)
photo:http://www.british-made.jp/
歴史のある靴メーカーですが、1999年にプラダグループに入っています。その後ラスト(木型)の変更と値上がりがあったため、昔ながらのファンからはよく思われていないようですが、近年は女性からの人気も高まりつつあります。作りの良さ、美しさ、価格、履き心地、どれをとっても満足できる英国靴といえます。欠点を上げるなら、天然の革なのである程度は仕方ないのですが、革に当たりはずれが大きいように思えることです。
キャップトゥ内羽根(コンサル)で9万円弱。個人的に、おすすめメーカーです。
http://www.church-footwear.com/
チーニー(CHEANEY)(JOSEPH CHEANEYとも)
photo:http://www.british-made.jp
かつてはチャーチ(CHURCH’S)の傘下だったこともあるチーニー。中価格帯の紳士靴の中でも中間くらいの価格で作りもいいです。またセレクトショップの別注品を含めいろんなデザインの靴を出しているので選びやすいメーカーです。5,6万円の価格帯ながらデザインの幅が広いので、勝負靴でも、3,4番手でも使えるメーカーです。個人的にはチーニーのブーツが好きで履いています。
http://cheaney.jp
グレンソン(GRENSON)
photo:http://www.grenson.com
質実剛健な職人メーカーとされるグレンソン。ユニークなデザインの物もありますが、クラシックなデザインの物が豊富なのが特徴です。5,6万円の価格帯なのですが、本当に作りがいい。昔ながらのイギリス靴らしく履き始めは皮が固いので絆創膏を貼りながら履くことになりかねませんが、履いている内に自分の足にフィットしてきます。1足所有していますが、もう16年が経つにもかかわらず、型崩れなく凛とした佇まいをしています。日本では百貨店の紳士靴売り場(松屋や伊勢丹など)でしか見かけることがないためか、実力の割に人気がないように思えます。個人的にはもっともコスパのいい靴だと思います。
http://www.grenson.com/
アルフレッドサージェント(AlfredSargent)
photo:http://alfredsargent.co.uk
イギリス靴の入門に最適とされるアルフレッドサージェントです。価格帯は3-6万と高級紳士靴のなかでは安いのが特徴です。私の足にはあまりフィットした感じがしないので購入を考えたことはありませんが、コスパは良い方でしょう。
http://alfredsargent.co.uk
トリッカーズ(Tricker’s)
photo:http://www.trickers.com
カントリーシューズやブーツが有名なトリッカーズですが、ビジネスで使えそうな物も出ています。とはいえデザインはどこかカントリー調。1足目の靴としては買いにくいですが、複数個の中の一つとして購入するのはありでしょう。頑丈さには定評があり、根強いファンの多いメーカーです。価格帯は7,8万円程度。
http://www.trickers.com
以下、他の国の靴メーカーは簡単な紹介にします。また後日、気が向けば追記します。
代表的な靴メーカーフランス
ベルルッティ(Berluti)
イタリア人がフランスで開業したメーカー。ヴェネツィア・レザーと呼ばれる特殊な皮を使用しているのが特徴のトップブランドです。
http://www.berluti.com/ja
ジェイエムウエストン(J.M WESTON)
パラブーツ(Paraboot)
代表的な靴メーカーイタリア
サントーニ(SANTONI)
シルヴァノ・ラッタンジ(Silvano Lattanzi)
ステファノ ベーメル(Stefano Bemersrl)
http://www.stefanobemersrl.com
アルティオリ (ARTIOLI)
ステファノ・ブランキーニ (Stefano Branchini)
代表的な靴メーカーアメリカ
コールハーン(COLE HAAN)
オールデン(ALDEN)
アレン エドモンズ(Allen Edmonds)
代表的な靴メーカーその他の国
三陽山長(さんようやまちょう)日本
スコッチグレイン(SCOTCH GRAIN)日本
ジャラン スリウァヤ(JALAN SRIWIJAYA)インドネシア
コスパは最高かもしれません。評価上昇中のメーカー。
http://www.jalansriwijaya.com